久しぶりにお茶摘みします

私は昔、京都は宇治田原で玉露農家のお手伝いをしていました。
農林水産大臣賞を4回取った「お茶名人」と呼ばれる並木秀和氏の茶農家、秀和園です。

9234

名人がやっている茶園とはいえ、並木氏と身内や知り合いで手伝う人数人(お茶の時期に1人とかその程度です)、後は20人程度の女性の摘み子さんが茶摘の時期に来る小規模な農家です。
玉露がなんなのか知らなかったのですがたまたま縁があり1998年、25歳の頃から手伝い始めて気がつけば2006年まで続け9年間が経ちました。
はじめはお茶にすごく興味があったわけではなかったのですが、気がつけば手摘みの玉露を「うん、うまい!」と飲む渋い若者になっていました。

9235

茶摘の時期は5月ゴールデンウイークあたりからの1ヶ月。
おやっさん(並木氏のことをこう呼んでいました)が古い機械を動かしてその補助を私がするうちにお茶がどう出来上がっていくのかがわかる面白い仕事です。
数年前にコーヒーの勉強を始めたときに、スペシャルティコーヒーの農家の苦労が、日本の高級茶の生産者とダブって見えました。手摘み玉露が手間がかかる高級品ということ、ほんとに小規模な農家ということ、収入面でこれだけでやっていくのは不可能に近いということ。
実際、並木氏も玉露農家だけでなく金物屋、運送屋をしています。

9236

2005年から本格的にはじめたカクテルショーの仕事が忙しくなり2007年からは茶畑に行ってなかったのですが、2015年に日本茶インストラクターの資格を取り久しぶりに茶園に顔を出した時に今の状況を聞いて目を疑いました。
それは玉露が売れずにもうほとんど作ってないということ。

世間が求めているのは安価な抹茶だということ。
なので茶園のほとんどが今は抹茶(の原料であるてん茶)になっているそうです。

抹茶と玉露は栽培方法が同じです。
覆いをして外から見えなくなっているのが玉露や抹茶の茶園です。
ここ(秀和園)の茶園はほぼ覆いをかけます。
今は抹茶が売れるので抹茶用の原料、てん茶を作っていますが、玉露の需要が増えれば玉露を作ることが出来ます。

玉露と抹茶は全く違う味です。
抹茶も美味しいですが、玉露も美味しい。
でもこのままだと、玉露は消えてなくなります。飲む人がいないから。

ニーズがなければ消えてなくなるのは仕方がない。
でも、知らないだけでいいものが消えていくのをただ見ているのはどうかと思うんです。

一回でもいい、飲んでみる機会を作らないと。
ちゃんとした玉露を飲んでみて、ニーズがなければそれはしょうがない。
そのために私が出来る事。

9237

10年越しの2016年にまたお茶摘みの時期に手伝う事になりました。

今年で85歳の並木秀和氏。10年ぶりですが、お茶摘み10年目、勉強させていただきます!
ということでこれからちょくちょく茶畑から日本茶、玉露についての情報などをお伝えしていきます。

まぁ、まとめると「玉露美味しいから一回飲んでや(^^)」ってことですよ。ホンマに。

秀和園の手摘み玉露、買いたい方はもうしばらくお待ち下さいね。

© 2024 iwamoto-hiroyoshi.com