Martini-ステアの回数

今日はステアの回数が味にどう影響するのかを調べてみます。
作るのはマティーニです。

7172

レシピはドライジン4/5、ドライベルモット1/5、レモンピールです。

7173

ドライジンは48ml、ドライベルモットは12ml氷を入れたミキシンググラスに注ぎます。

7174

ステアの回数を20回、50回、100回の3つで比較して見ましょう。
まずは20回。

7175

冷やしたカクテルグラスに注ぎます。
レモンピールをしてカクテルピックに刺したオリーブを沈めたら出来上がり。
ステア50回、100回でもやってみましょう。

7176

20回だとジンの辛さがガツンと来すぎて飲み込めないです。
50回でもまだかなり強いです。
100回になると今度はジンの風味が弱くなってしまいました。

アルコールはどれも強いのでアルコール自体の違いというのはあまり変わらない気がします。
20回でも強い、50回でも強い、100回でも強い。
これは氷がすごく溶けて実質的なアルコール度数が下がらない限り、そんなに変化はありません。

ただ、混ぜる事による風味の変化はアルコール度数が高くてもあります。
マティーニはジンとベルモットの混合液と考えると、
20回では混ざりが不十分で一体化していません。
50回でも20回に比べると混ざっていますが、ジンの風味がまだ勝っています。
でも100回混ぜると今度はジンの風味が消えて平凡な、飲んでて美味しいと感じない液体になってしまいました。

この後、70回でやってみるとジンの風味とベルモットの風味が一体化して美味しいと感じるマティーニになりました。
ただ、これは何回回せばいいという、回数の問題ではありません。

ステアをしている間に、
①素材がバラバラ→②素材がまとまってくる→③素材が輝く→④素材の輝きが無くなって平凡な味になる
、この4段階の変化を意識して感じ取れないといつまで経っても美味しいマティーニが作れない気がします。

あくまでも回数は目安にして(この回数はステアの技術やそのほかの要因で変化します)、素材が輝くところまでステアで持っていく技術を身につける。
そうすることではじめて「素材を生かす」カクテルが作れると言えると思います。

今までマティーニはただ強く、美味しいとは思えないカクテルではありましたが、美味しく作ることは出来るはず。
今まではマティーニを飲みやすくすればいいということは、アルコール度数を下げればいいのか?じゃあ、ステアは長めにすればいいんじゃないか?なんて頓珍漢な事を思っていましたがそうじゃない。「飲みやすい」じゃなく、「アルコール度数はとても高い、でも素材が生きていて美味しいと感じる」、そういう味にピシッと決めるのが大事なカクテルなんじゃないか。

なんかイメージが明確になりましたが、果たして素材が輝く数回の間にステアを終わらせる事ができるのか、、、研究は続きます。

© 2024 iwamoto-hiroyoshi.com